質問58 時効の援用
当時勤めていた会社の社長が「副社長をやってみないか」って言ってきて、
それで資金繰りを融資受ける際に信用保証協会の連帯保証人になることを
条件に副社長になったんですが、その後会社はあえなく任意整理(倒産では
ない)、しかし借金だけは残って私が思わぬ債務者になってしまいました。
当時の社長はすぐに自殺してしまいましたので、借金の残額が私の肩に乗
りました。
それから5年以上の月日が経ち、あるとき内容証明が届いて、仮執行権付
督促(?)のようなものが来て、知人に相談したら「ほっておけばいいよ」という
ものだから放置していたら別の知人に「債務名義になってまったね」といわれ
て、何のことだか調べてみたら10年時効が延長されたとのこと。
そもそも私個人で返せるような額じゃなく、差し押さえたいのならもう勝手にし
てくれという気持ちになっていた頃で何もせずに封筒ごとゴミ箱へ放りました。
それはそれでいいのですが、ふと時効なんてものがあるのか、そんなときに
知った次第です。
で、いろいろ調べてみると信用保証協会の債務は商事だから5年で時効とど
こかにあったので、あれやこれや考えてみると内容証明が届く以前に5年は
経過していたことに気づきました。
もしかしたら主債務の法人がある程度の期間返済していたのかと疑って担当
のいつも不愉快そうな弁護士さんに電話してみたら、やっぱり最終弁済から5
年と数ヵ月経った所で私だけ訴訟された形だったようです。
いまとなっては債務名義を背負ってあと6年ほどが残っているのですが、自暴
自棄だった自分を反省しています。
もしかしたらいまからでも過去に遡って連帯保証人の立場で、主債務の時効
援用を送ったら、もしかして主債務(会社)は放免、そして連帯保証人である私
の時効も同時に成立するのではないかと期待して質問してみました。
ご指南よろしくおねがいします。
回答58
弁護士A
仮執行宣言付支払督促が確定した時点で、商事消滅時効の援用はできなく
なっています。
次に消滅時効の援用ができるのは。仮執行宣言付支払督促の確定から10年
の民事消滅時効です。
松原脩雄弁護士 回答58
1 主たる債務につき消滅時効が完成したとき、主たる債務者が時効の援用を
すれば、保証債務の附従性により連帯保証債務も消滅します。
2 主たる債務者が、時効の利益を援用しない場合にも、連帯保証人は、主た
る債務の時効を援用できます。
3 問題は、あなたが支払督促を受けたのに、その裁判で主たる債務の時効の
援用をしなかったことが、「時効利益の放棄」と見なされるかどうかですが、
当時、あなたは、時効についての認識がなかったようですから、時効利益の
放棄とはみなされないでしょう。
4 そうするとあなたは、消滅時効の援用を主張できることになりそうです。
5 ところで、今すぐその主張をするか、強制執行を受けたときに異議を述べる
方が良いかという問題を次に考えておいた方が良いでしょう。
「寝た子を起こす」可能性がありますので、このまま督促から10年の時効を
待ち、その間に強制執行がなされたときにのみ消滅時効の援用を裁判上
主張する、というのが安全なのではないでしょうか?
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